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丁寧に炊かれたごはんが好きだ。碗(に盛られた炊きたてのごはんには神々(しささえ感じられる。日本人に生まれてよかった、としみじみ思う。
数千年前に伝来した稲に、日本人は長い年月をかけて改良に改良を重ねて、独特のジャポニカ種の米を作り上げたのである。その米を炊き、碗と箸(による粒食文化を定着させた。
近年、日本人の米離れが言われているが、それでも意識の上でなお、米が日本人の食の中心であることに違いはない。食事を指す言葉が依然として「めし」であり「ごはん」であることがそれを証している。
畏友・嵐山光三郎はその快著『ごはん通』で、ごはんの食味を九つの要素に分類してみせた。曰く、茶碗に盛った時の姿・形、光り具合、香り、噛(み心地、粘り、堅さ、甘み、喉(の通り、食べた後の余韻。これらが満たされた時、私たちはごはんを「おいしい」と感じるというのである。言い得て妙、というものだろう。
高温多湿のモンスーン地帯に属する日本で、品質の高い稲が、土と水と太陽の恵みをたっぷりに受け、農業者の営々たる努力で優良な米をもたらす。それを収穫して脱穀し、精米して、研(ぎ、水で煮る(炊く)。米は水を含んで弾力のあるごはんに仕上がる――。
能(う限りの美食を尽くした食通として知られる、かの北大路魯山人(は言っている。「ごはんは日本料理の中で、最初にして最後の料理、しかも最高の料理だ」。 |
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| 本名、筒井泰彦(つつい・やすひこ) |
1944年生まれ、佐賀市在住。
平凡社にて月刊「太陽」副編集長、佐賀新聞社で文化部長、論説委員を歴任。元季刊
誌「FUKUOKA STYLE」編集長。
著書に「梅安料理ごよみ」(共著・講談社文庫)、「必冊 池波正太郎」(平凡
社)、「江戸を食べに行く」(共著・河出書房新社)など。食に関するエッセイ多
数。
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